「ケヤキで働きたい」と思ったきっかけは、大学三年生の6月にケヤキホームで実習をしたことです。実習をする前は、保育士資格を活かして子ども関連の一般企業か保育園への就職を目指していました。
ケヤキホームでの実習を通して「直接子どもとかかわることができる仕事がしたい」と思い直したこと、児童養護施設での保育士の役割を知り、そこで生活する子ども達と一緒にかかわることで、自分らしく働けることの楽しさや、子ども達と一緒に成長できる環境に魅力を感じたことが、入社を決めた理由です。
入社してから、小中学生の男児を担当しています。
基本的には、子ども達の日常生活の支援のため、掃除や洗濯、食事の準備、子ども達の宿題をみるなど、家事を中心としたことが主な仕事です。
児童養護施設に入所している子ども一人ひとりと向き合い、その子に合わせた必要な支援ができるよう、複数の職員と協力し、現在はチームで子ども達の養育にあたっています。
親御さんと交流がある子どももいるため、親御さんをはじめ、児童相談所の方、学校の先生など、各関係機関の方との情報共有(電話や対面でのやり取り)も日頃から行っています。
私は日頃から、小さな気づきを大切にしています。
子ども達と過ごす毎日は、一見同じように思えても、子どもが見せてくれる表情は毎日違ったものです。
子どものちょっとした顔色の変化や様子に気づくだけでなく、何かを頑張ったときにはたくさん褒める、必要な時には叱る、というようにメリハリをつけた対応をするよう心がけています。
良いところばかりに目を向けず、時には子どもとぶつかり合いながらお互いに信頼関係を築いていき、子どもの些細なことに気づける職員でありたいと思っています。
私は、入社してから担当になった子ども達を、できるだけ長く見ていきたいと思っていました。
ですが、担当した子どものなかには、家庭引き取りになる子どもや、様々な理由があって別の施設へ移動する子どもが多く、一緒に居られる時間、みてあげられる時間が限られていました。
そんな子ども達とかかわるなかで、「家に帰りたいけどケヤキにもいたい」「寂しい」と言った言葉をたくさん耳にしてきました。「小さいなりにいろいろ考えていたんだな」と子どもの複雑な気持ちに触れたことは、今でも強く印象に残っています。
一緒に過ごせる時間、見てあげられる時間に限りありますが、そのなかで専門職としての知識を活かしながら「その子にとっての一番の幸せは何か」を考えて、社会へ送り出す仕事に毎年大きなやりがいを感じています。